二日めのカレーライス18
柚子の乗ったタクシーが大阪医科大学総合医療センター正面入り口に止まった。
オペナースの多嶋絵美が待っていた。
「先生 無理言ってすみません。」
「お疲れさま!」
「状況は?」
「頭部CT検査の結果、やはり急性硬膜下血腫だと思われます!」
「すぐにやるわよ!」
「第三オペ室が空いてますので準備します!」
「先生 ご両親があちらに」
柚子は驚いた。
「山野辺さん?」
「まさか、十二歳の男の子って、山野辺さんの息子さん?」
「・・・、柚子ちゃん!」
山野辺も驚いた。柚子がここに勤務していることは知っていたが、大きな病院なので柚子が担当することになるとはまったく思いもしなかったのである。
「柚子ちゃん、あ・・・、先生!りくは!息子は助かりますか!」
「大丈夫です!最善を尽くします!」
「先生!よろしくお願いします!」
柚子は軽く会釈して足早にオペ室に向かった。
高野は書斎にいた。
日課の二十頁目を書き終えたとき、電話が鳴った。
こうパパからであった。
「じゅんいちろう!りくがバスケの試合中に頭を打って今病院に・・・」
「こうパパ、落ち着いて!」
「病院は?病院はどこ?」
「大阪医科大の医療センターなんだ」
「わかった!俺もすぐ向かうよ!」
高野はタクシーに飛び乗って大阪医科大学総合医療センターに向かった。
「浩太!」
「じゅんちゃん!来てくれたのか」
「どうなんだ?りく?」
「急性硬膜下血腫らしい。試合中は変わった様子はなかったんだけど、帰る途中頭が痛いって言いだして・・・」
「今は祈るしかないな!」
「担当 柚子ちゃんなんだ!」
「えっ、柚子なのか?」
こうパパからりくが頭を打ってと聞かされたとき、高野は柚子の顔を思い浮かべていたのである。(つづく)