DonAltobelloのブログ

アルトベッロのもの書き人生

二日めのカレーライス15

山野辺もそのようだが、私も山野辺の実家に帰るのは一ヵ月ぶりだったこともあり、昨夜はこうパパと遅くまで飲んだのである。

 二日酔い一歩手前の状態で目が覚めた私はこうママの台所で何かを刻む包丁の音に引き寄せられるように居間に向かった。 

 

「こうママ おはよう」

 

「じゅんちゃん おはよう、まだ寝てたらいいのに」

 

「昨日はよく飲んだね」

 

「こうパパ相変わらず強いね」

 

「じゅんちゃんが帰ってきた時はほんと嬉しそうなのよ あの人!」

 

「こうママ、こうパパ 浩太と何かあった?」

 

「う・・・ん・・・」

 

 

高野は三日ぶりに高野コンストラクション社長室にいた。

例の新しいプロジェクトの件で打ち合わせがあったのだ。

 

(コンコン)

「失礼します。」

 

入ってきたのは海外事業本部第一設計部部長の佐渡島壮一であった。

 

「例のオランダ デンハーグ駅の再開発プロジェクトの件ですが・・・」

 

「駅舎部分の設計はオメガの担当だったな」

 

「はい!今山野辺所長と詰めの協議をしています」

 

オランダでのプロジェクトの件もあったのだがこの前のこうママの訳ありそうな返事が気なり佐渡島とのミーティングをそこそこで終え高野は浩太に電話をした。

 

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「もしもし、こう?」

 

「じゅんか!」

 

高野と山野辺は中学からの親友である。バスケットボール部で知り合ったのだが、練習や試合中はお互いを“こう”“じゅん”と呼び合っていた。本当は“こうた”と“じゅんいちろう”なのだが試合中に“じゅんいちろう”と呼ぶのが面倒だということでいつの頃からか浩太は高野のことを“じゅん”と短縮して呼びかけるようになった。それならとこちらも“こう”とよぶことにしたのだが、これは短縮しなくてもよかったのではないかと後々笑い話になった。

 

デンハーグ駅のプロジェクトでは世話になってるな!」

 

「久々の海外プロジェクトにうちの都市環境部の連中はりきってるよ!」

 

「十一月に第二回目の打ち合わせをしたいといってきているんだ!ユーロスター・グループベルギー本社に出張になるけど、よろしく頼むな!」

 

「了解!」

 

高野は仕事の要件を早々に切り上げて例の件をそれとなく確かめてみることにした。

 

「最近は帰ってるのか?」

 

「どこへ?」

 

「どこへって、こうパパ、こうママんとこだよ!」

 

「今年の正月に帰ったきりかな」

 

「半年以上前じゃないか!」

 

「りくがバスケ始めたって言ったっけ?」

 

「りくのシュートシーンの写真入り年賀状くれただろ」

 

「そうだったそうだった」

 

「何か俺も久しぶりに血が騒ぐっていうか、俺がやるわけじゃないんだけど練習を見てたくてな!」

 

「週末はチームの練習と個人練習で実家に帰る時間なんてないよ」

 

「プロにするのか?」

 

「なってくれたらいいなとは思うけど、そんな簡単なものじゃないこともわかってるから、悔いの残らないようにしてやろうとだけ思ってね」

 

「こうママもこうパパも寂しがってるんじゃないか?」

 

「オヤジはりくがバスケ以外にもやりたいことがあるんじゃないかっていうんだけど・・・、わるいわるい、余計な話ししたな」

 

「プロジェクトの件は任してくれ、いいもの上げるから!」

 

「おう!期待してる!」(つづく)