二日めのカレーライス2
「近畿地方の梅雨入り宣言て 確かまだ出てなかったよな」
見上げると空はどんよりと今にも雨が降りだしそうな顔をしていた。
大阪市中央区、ここは大阪の中心地であるが私の書斎があるこの街は、小さな商店と民家が混在する、どちらかと言えば下町の懐かしさを感じる場所である。下町情緒を残している処は大阪にもまだ幾ヵ所かあるが、ここは十分も歩けばビジネスマンが闊歩するビジネス街に最も近い下町である。
この街に書斎を借りているのは、作家という職業とは別に株式会社高野コンストラクション代表取締役という肩書のもう一つの仕事があるからなのである。書斎から歩いて十分のところにその会社はある。 と聞けばよほど仕事熱心なこととなるのだが、この書斎は"作家 鷹野隼一朗"として原稿を執筆するためだけに借りていると言った方が正しい。(つづく)
