DonAltobelloのブログ

アルトベッロのもの書き人生

陽下の法典(15)※中編ミステリー

 

(15)の出演者 ※妄想

向田直哉(刑事):鈴木亮平

与儀 玄(公安職員):井浦 新

 

 

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世威羅連邦は三年前一方的に独立を宣言した。

アジア大陸の東、二国二道一地方の共同体である。

エフレムと辛尹による独裁体制のもと軍事力をもって過激な民族主義を主張している。

近年急激に軍備を拡充しており、ソ連北朝鮮が裏で操っているのではないかと噂されている。

 

日本国内においても国籍が確認できない特殊工作員、諜報員の存在が二年余りの間に数十人確認されている。

一年前に起こった防衛事務次官の死や自衛隊の戦力データをはじめとする機密情報の漏洩、外務省で管理されている国内要人データの持出し未遂事件などにも関係している可能性が極めて高い。

いずれにも関与したと思われる工作員は、旧国籍を確認できるようなものは残していないが世威羅連邦の工作員であることを証明するものは意外にも簡単に確認できた。

工作員は忠誠の証として体のどこかに世威羅連邦の国章を入れ墨にしているか、持ち物に描き込んでいる。この部分に関しては身元を隠そうとする意志はないようであった。

このような事象から総合的に判断し、世威羅連邦をテロ支援国家に指定することとなったのである。

 

 

 

 

公安外事課の与儀玄は国内に暗躍する特殊工作員及び諜報員を内偵・監視する役割であるが、最要注意国としてこの世威羅連邦に注力していた。

匿名で提供のあった外務省に関連する情報に与儀はいつもの情報提供とは違うきな臭さを感じていた。

代々木上原に住む外務省職員黒原慎一についいて渡航履歴を調べたところ、この二年間にソ連・中国・キューバに観光目的で入国していることがわかった。だがしかし、海外渡航承認願は出された形跡がなかったのである。

この件に関して外務省に回答を求めたがはぐらかすような回答しか返ってこなかった。

与儀は引き続き黒原慎一を監視することにした。

 

 

 

武蔵小杉の事件現場を中心とする半径2キロメートルの範囲内にホームレスのねぐらとなるような場所はなかった。唯一多摩川にかかる橋の下に二名のホームレスが住み着いていいたが、ここ数ヶ月の間に出入りのあったホームレスはいなかった。

 

向田は警視庁に協力を依頼して聞き込み範囲を東京都にまで広げることにした。

そして十日が過ぎた頃、ホームレスに関する情報が得られた。

一人のホームレスを四ヶ月ほど前から見かけなくなったという他愛もない情報であった。

まったく情報のなかったホームレス関連の捜査であったことから向田は小さな情報も見逃したくはなかった。

向田は早速品川警察署の草間刑事と合流し見かけなくなったというホームレスのねぐらに向かった。

 

 

 

 

そこは町はずれの小さな川が合流する際の橋下であった。ブルーシートで覆われた家(ねぐら)の中は畳三畳分ほどのこぢんまりとした、比較的きれいな内部であった。段ボール箱で作られた棚にはいくつかの衣類とコップ、箸、スプーンそして空になった酒瓶が二本整然と置かれていた。

それ以外に、もう一つ段ボール箱があった。

開くとその中には分厚い表紙の本が段ボール箱いっぱいに詰められていた。

向田はその一番上の一冊を取り出した。

 

「ん? 法律書か?」

 

瞬時に向田の頭には例の紙片が浮かんだ。

 

「焼死体の胃の中から見つかった紙片も法律書の一部だったな!」

 

ネタ元のホームレスに聞いたところ、そのホームレスは“源さん”と呼ばれていた。

四カ月ほど前からこの家(ねぐら)には戻っていないという。“源さん”と呼ばれていたこと以外は何も知らないと話すが、以前に何度か公園で小さな女の子と母親の三人でいるところを見ていた。

向田は小さな女の子と母親の三人が会っていたという公園の場所を確認し、家(ねぐら)の中にあった法律書段ボール箱ごと持ち帰ることにした。

つづく