(18)の出演者 ※妄想
向田直哉(刑事):鈴木亮平
迫水拓郎(鑑識官):中村獅童
与儀 玄(公安):井浦新
黒原 刃(政治家):山路和弘
源さん(浮浪者): ?
黒原慎一の乗ったタクシーがJR大森駅近くのスーパーの前で停まった。
黒原慎一はタクシーを待たせ、スーパーの中に入っていった。
与儀は30メートル手前でタクシーを停め黒原慎一の後を追った。
スーパーの中に入った黒原慎一は奥にある出入口を出たところのコインロッカーで何やら取り出し、再び待たせていたタクシーに乗り込んだ。
何を取り出したのか与儀にはわからなかったが、黒原慎一の挙動からは公にはできないもののように感じられた。
与儀は念のため黒原慎一が利用したコインロッカーの指紋を採取するよう指示を出しその場を引き上げた。
20年以内に退官した検事について問い合わせるためであった。
「こちらが2000年以降の退官者リストです。」
「ありがとうございます。」
向田が受け取ったリストには27名の名前が記されていた。
そのうち定年による退官者が19名、弁護士への転職による退官者は7名、そして残りの1名は所在不明による退官扱いとなっていた。
リストに基づき所在確認を行った結果26名について本人との連絡がついた。
「残るは所在不明の“養父源太郎”という人物か・・・」
「ん・・・」
「養父、父・・・」
向田は焼死体の胃の中から発見された紙片に書かれていた“父”に似た文字のことを考えていた。
名前を書き留めたとき、養父源太郎の“父”の文字だけが何らかの理由で残ったのではないか? もしそうだとするとあの見かけなくなったという品川の“源さん”と呼ばれていたホームレスは養父源太郎ではないか?向田は確信に近いものを感じた。
「拓さん、おもしろいことがわかりましたよ!」
「検察官の退官者リストを洗った結果、養父源太郎という人物が浮かび上がりました。」
「養父源太郎・・・・ 養父・・・」
「どうしたんですか?」
「どこかで聞いたことがある名前なんだが・・・」
「法務省人事課によりますと、養父源太郎は2010年に退官扱いになっています。」
「扱いって?」
「養父源太郎については2000年以降所在が不明となっていまして10年後の2010年に退官したものとみなされたようです。」
「ということは、行方不明か?」
「生きているのか死んでいるのかもわからないということでしょうね!」
「養父・・・」
迫水はパソコンで“養父源太郎”を検索してみた。
「やっぱりあの養父源太郎のことか!」
「知ってるんですか?」
「今から28年前、ある政治家の献金問題を突いた検察が裏金事件に発展させて立件したんだが、その政治家が検察庁に圧力をかけて事件をうやむやにしたというやつだ!」
「それと養父源太郎がどう?」
「その時指揮をとっていたのが検察庁きっての切れ者といわれた養父源太郎だ!」
「で、その後は・・・」
「その政治家はおとがめなし、養父源太郎はテレビや雑誌、新聞でかなり叩かれたようだ。」
「政治家の圧力に検察が屈したんですね!」
「ずいぶん前のことだからな。」
「その政治家って?」
「副総裁も務めた政界のドン、国主党の黒原刃だ!」
養父源太郎に関する捜査が『武蔵小杉焼殺事件』を解明する柱となった。
翌日、向田は退官者リストにあった養父源太郎の住所を訪ねた。
鎌倉山は夫婦池公園の傍の一角、住所地には古びた日本家屋が住人の帰りを待っているかのようにひっそりと建っていた。
もう何十年も手入れされていないと思わせるほど雑草が生い茂り、建物も所々老朽箇所が目立っていた。
表札は養父となっていたが、近所の人の話によるともうずいぶん前から空き家状態だと言う。
養父源太郎についてはあの事件以降見かけた人はなく、この土地も建物も所有者不明で手が付けられない状態であった。
両親と三人暮らしであったようだが事件後両親が相次いで他界、養父源太郎は独り身であったようだ。
つづく





